学会について


一般社団法人 環境DNA学会は、環境DNA学を生態系の持続的利用や環境保全など、人類全体の幸福に資する学問分野として育成、発展させることを目的とします。

環境DNA学とは
環境DNAとは環境中に放出された生物由来のDNAの総称。環境DNAを収集・解析する技術開発、およびその標準化と社会実装を通じて健全な生態系の維持や持続的利用に資するための基礎・応用学問分野を総じて環境DNA学と呼ぶ。


環境DNA学会設立趣意書

 

生態系観測によって提供される生物分布・生物量・生物相等に関する情報は、生態系に生じるパターンやプロセスの科学的な理解、生態系サービスの適切な利用や、効果的な生態系保全に不可欠です。しかし、絶えず変動する生態系の状態を把握するのはしばしば非常に困難で、生態系の科学的理解を妨げてきました。また、人間活動に伴う生物多様性の喪失や、生物資源利用の非持続性が問題となるなど、人間と生態系の関係をめぐる多様な問題が生じ、より詳細な生態系情報に基づく早急な科学的対処が求められています。

近年になって、環境中に存在する生物由来のDNAを利用した、新しい生物調査技術が誕生しました。環境DNA技術と呼ばれるこの新しい分野の急速な発展は、多様な基礎的学問分野の上に成り立っており、関連する基礎研究の重要性がますます認識されるようになっています。また、環境DNA技術を利用した生物調査の省コスト性・多種網羅性・迅速性が明らかになり、生物情報を得るための画期的ツールとしての発展への期待が高まっています。

環境DNA学とも呼ぶべきこの新しい学問分野の発展によって、大規模かつ詳細な生態系情報の迅速な取得が可能になれば、好むと好まざるとにかかわらず、人類の生態系利用・保全のあり様に大きく影響していくでしょう。いかなる科学・技術も利用法を誤れば、人類の福利を大きく損なうことにもなりかねません。環境DNA学を生態系の持続的利用や環境保全など、人類全体の幸福に資する学問分野として発展させるには、そのための仕組みづくりを進める必要があります。

このような状況に鑑み、環境DNA技術の発展と、これを活用した自然調和型社会の実現を目指す有志の交流の場として本学会を設立します。学会は、環境DNA技術・観測に関わる基礎・応用研究の促進、環境DNA技術の標準化と社会実装、さらに環境DNA観測から得られる生物情報の管理と利用法の研究等の幅広い関連分野で、責任ある中心的役割を果たしていきます。科学・行政・産業・教育をはじめとする様々な立場から、学会設立の意義に賛同される皆様の参加を期待いたします。

2018年1月22日

発起人:

荒木 仁志(北海道大学大学院農学研究院 教授)

岩崎 渉(東京大学大学院理学系研究科 准教授)

内井 喜美子(大阪大谷大学薬学部 助教)

笠井 亮秀(北海道大学大学院水産科学研究院 教授)

近藤 倫生(龍谷大学理工学部 教授)

清野 聡子(九州大学大学院工学研究院 准教授)

高原 輝彦(島根大学生物資源科学部 助教)

土居 秀幸(兵庫県立大学シミュレーション学研究科 准教授)

西田 睦(琉球大学 理事・副学長)

益田 玲爾(京都大学フィールド科学教育研究センター 准教授)

源 利文(神戸大学大学院人間発達環境学研究科 准教授)

宮 正樹(千葉県立中央博物館 生態・環境研究部長)

山中 裕樹(龍谷大学理工学部 講師)

山本 哲史(京都大学大学院理学研究科 助教)