[Finished] 第3回環境DNA学会仙台大会(第36回個体群生態学会大会合同大会)

第3回環境DNA学会仙台大会(第36回個体群生態学会大会合同大会)が開催されました。
大会サイトはこちらから。

1.学術大会の開催
1) 期日 :2020年11月14日、15日、16日
2) 場所 :オンライン
3) 参加者:環境DNA学会(正会員(一般)128名、正会員(学生)51名、賛助会員66名)、
個体群生態学会(一般39名、学生30名、賛助会員1社)、
非会員(一般30名、学生22名)、
直前申込(一般20名、学生7名)
4) 講演数:基調講演5件
公開シンポジウム、企画シンポジウム、夜のトークセッション4件
ポスター発表(環境DNA学会:59件(内学生会員:23件)・個体群生態学会:40件(内学生会員:25件)・高校生3件(環境DNA:3件))
5) 公開シンポジウム:ビッグデータ・オープンデータ時代の生態学
7) 企業展示:8件
8) 広告掲載:1社

学会大会プログラムはこちらからご覧ください。

2.ポスター賞受賞者・要旨集
最優秀賞 PP083「環境RNA解析は環境DNA解析よりも高感度であるのか?」
松下翔真、岩崎渉(東京大院)

現在、環境サンプルの解析には環境DNAを対象とした研究が主流であるが、近年環境RNAを解析することで環境DNA解析よりも多くの種を検知できることが報告された。このことから、環境RNAの存在量は環境DNAより多いことが予想されるが両者の量的な関係は明らかにされていない。そこで、本研究では、環境RNAは環境DNAよりも多く存在するという仮説について、メダカ水槽の定量PCRにより両者のコピー数を比較することで検証を行った。

優秀賞 PP097「淡水二枚貝タテボシガイNodularia nipponensisのDNA放出特性」
菅原巧太朗(秋田県大院)、岡野邦宏、宮田直幸(秋田県大)

本研究では、湖沼でのタテボシガイのモニタリングを目的として定量PCRによるタテボシガイ由来DNAの定量法を確立した。水槽実験において、タテボシガイのeDNA放出量と無機態窒素およびリン排泄量の間に強い正の相関が検出された。一方で、eDNA放出量-生物体量間の相関は弱く、タテボシガイのeDNAは主として排泄物に由来することが示唆された。

3. 高校生ポスター賞
最優秀賞 SP001「ムギツク(淀川、大阪)mDNAの全容解明と生物保全の実践活動」
廣嶋美咲、*今北海滉、田中麻祐斗、大牟禮尚也、谷脇鉄平(大阪高校)、岸本友、奥山永、高橋純一(京産大)

科学探究部では、京都産業大学高橋純一准教授との共同研究により、2017年10月から環境DNA分析を用いて淀川の生物相(魚種)調査を行っている。2018年2月にムギツクが検出されたことを受け大阪市水道局水道記念館からムギツクを寄贈いただいた。本研究では、いただいたムギツクを用いて種特異的調査を行う過程でmDNAの全容が解明できたので、その経緯と社会奉仕活動(環境保全および環境教育)について紹介する。

審査員特別賞 SP002「環境DNAでキタノメダカを救え!」
澤井奎治、荒木星凪、遠藤祐太、佐藤伯(米沢興譲館高校)

環境DNAは、その地域の土や水に含まれるDNAを調べることでそこに住む生物を特定できる技術である。私たちは、この技術を用いて絶滅危惧種であるキタノメダカと、その捕食関係にあるブルーギルの生息域を調査して地図上に反映した生息域マップを作ることが目的である。本研究では置賜地域の河川から水を採取し、用意したプライマーとPCR法を用いてブルーギルとキタノメダカが生息しているかを調査する。

審査員特別賞 SP003「環境DNAを利用したカジカ科の魚の分布図の作成」
菅野翔太、森玄(米沢興譲館高校)川や山の開発が進むにつれて、清流に住む魚の個体数は減少の一途を辿っている。現在、3種類のカジカの魚が山形県のレッドリストに登録されており、山形県の川のカジカ科の魚の個体数はとても少なくなっていると考えられる。そこで、環境DNAを利用してそれらの魚の生息場所や生息に適した条件を調べることにした。この研究によって山形県のカジカ科の魚の個体数の減少を食い止め、生態系の保全を支援できると考える。

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